令和5年度公開講演会「日本海中部地震から40年,防災科学の進歩」を開催|弘前大学大学院 地域共創科学研究科

令和5年度公開講演会「日本海中部地震から40年,防災科学の進歩」を開催

更新日: 2023.07.26

 大学院地域共創科学研究科では、令和5年7月18日(火)に弘前大学創立50周年記念会館において、「日本海中部地震から40年、防災科学の進歩」をテーマに公開講演会を開催しました。

 本講演会は、東北地方の日本海側を中心に甚大な被害を与え、社会科学分野の多くの研究者が災害研究を行うきっかけとなった日本海中部地震を振り返り、これまでの防災科学・防災技術の進歩について理解を深め、防災意識を新たにし、将来に備えるきっかけとなることを目的として開催されました。
 本講演会には、防災研究の最前線で長年にわたって活躍された京都大学名誉教授・防災科学技術研究所前理事長の林春男氏を講師にお迎えし、基調講演いただき、福田学長をはじめ、自治体職員や本学の教職員及び学生約60名が参加しました。
 講演者の林京都大学名誉教授からは、「日本海中部地震からの40年間の防災科学の歩みをふりかえる」と題して、日本海中部地震を受けて、当時本学の人文学部(現在の人文社会科学部)の教員として、理学部(現在の理工学部)や農学部(現在の農学生命科学部)の教員と共に大学をあげて研究を始められたことをご紹介いただきました。また、過去の災害を例に、被災者視点での復旧・復興には、多岐・長期にわたるプロセスが必要であることや、従来の予防中心の防災のモデルではなく、災害を乗り越えるという回復力(レジリエンス)を含めて考えることが、総合的な防災力の向上に繋がると述べられました。
 このような予測・予防と応急対応を組み合わせて課題解決に取り組むことが、本研究科が理念として掲げる「共創」の役割であると温かいご声援をいただきました。
 また、講演会後半には、本学の前田拓人教授(大学院理工学研究科)、梅田浩司教授(大学院理工学研究科)、森洋教授(農学生命科学部)からご講演いただきました。
 日本海中部地震を軸とした過去・現在・未来における課題や進歩、地層中の津波堆積物の調査内容、地震によるダムやため池等の土構造物の破壊挙動予測等に関して、各専門分野から防災科学の進歩についてお話しいただきました。
 日本海中部地震は、日本国内の一地方で発生した単なる災害ではなく、先人の研究者の努力によって、その後の災害研究における重要な転機となった災害であること、そして次世代へ繋いでいくことが使命であることがあらためて共有されました。

 講演終了後、片岡研究科長より、本研究科は“地域を守る”“地域から攻める”をキーフレーズに文系と理系の枠を越え、あるいは地域と大学の枠を越え地域課題の解決を目指す研究科であることから、本講演会は、まさに本研究科の理念に沿ったものであり、引き続き学内横断的な取組を行っていきたいとし、本講演会に対する御礼の言葉が述べられました。